尿が出にくい原因となる病気 | 男性の前立腺肥大症の進行と排尿困難
駅のトイレで小用を済ませようと、列に並んで自分の番がきたものの、尿が出にくいために時間がかかり、後ろの人をイライラさせてしまう、などということはありませんか?
40代半ばから、働き盛りの男性の多くが排尿困難に悩むといわれています。昔は特に意識をしなくても勢いよく出ていたおしっこが、トイレの前に立っても出てくるまでに時間がかかり、出始めても勢いがなくチョロチョロ。そして、まだおしっこが残っている感じがあるのに、止まってしまう。
このような症状が気になり出したら、前立腺肥大症を疑ってみましょう。今回は、尿が出にくい原因となる病気の症状と対策についてまとめます。
前立腺肥大症による排尿トラブル
前立腺は、膀胱の付け根から尿道を取り囲むようについている男性特有の器官です。クルミ大の大きさで、精子に栄養を与える前立腺液を分泌する働きがあります。
その前立腺が肥大するのが前立腺肥大症という病気です。原因は未だはっきりしていませんが、年齢と共に患者数が増えることから、加齢による男性ホルモンの変化や生活習慣病との関連性が指摘されています。
前立腺が肥大すると、前立腺に囲まれている尿道が圧迫を受けるため、尿が出にくい原因になります。力まないとおしっこが出なかったり、尿に勢いがないなど、排尿に時間がかかります。そのほか、頻尿・夜間頻尿、残尿感、排尿後尿滴下(トイレの直後に少量の尿が漏れる症状)等の症状がみられます。
病気の進行による症状の悪化
前立腺肥大症が進行し、頻尿や夜間頻尿による寝不足等で生活に支障が出てくると、病院を受診する人が増えてきます。
もし放置してさらに進行すると、尿道の付け根がほぼ塞がってしまい、自分の意志での排尿が困難になることがあります(尿閉)。その状態では、常に膀胱が尿で満杯になるため、尿が常に少しずつ漏れ出る「溢流性失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)」という状態になってしまいます。
人によって症状の出方や病気の進行スピードはさまざまですが、前立腺肥大症による排尿困難はこのようなパターンで進行します。
早めの対策がポイント
中高年男性の多くに「尿が出にくい」という排尿困難の症状があり、前立腺肥大症が原因になっていることが多いということが、お分かりいただけたことと思います。前立腺肥大症は、放置していると進行していき、酷い頻尿や溢流性失禁といった症状が出るようになると、生活に著しい支障をきたします。そうなる前に、尿が出にくいと感じたら、早めに泌尿器科を受診して治療しましょう。
検査の結果、特に治療が必要ではないと診断されるケースも多くあります。ただ、排尿困難の原因には前立腺がんなど他の病気が隠れている場合もあるので、それをチェックするためにも早めの受診をお勧めします。
病院に行くほどではないけれど、少し気になる排尿困難は、食生活の見直しや、サプリメントで経過をみるのも良いでしょう。
いずれにせよ、尿が出にくい症状が気になったら、放置せずに早めに対策を講じ、おしっこの悩みを解決しましょう。